株式投資をはじめた頃は分からない用語も多くて、株を購入することが何かとても難しいことのように思っていました。
実際はネットショッピングのように簡単に買えてしまうので、拍子抜けしてしまったことを覚えています。
しかしよくわからなくても簡単に購入できてしまうというのは、リスクもよく理解できていない初心者にとっては逆に危険です。
今回は自身の初心者の頃を思い出しながら、株を購入するうえで知っておきたい基本的な内容や、ネット証券での株の買い方についてまとめてみました。
株の売買が成立する仕組み
株の売買が成立する仕組みについて、実際の取引で使われているツールを用いながら解説します。
板情報について
株の取引は上図のような板情報に基づいて行われます。
板情報とはそれぞれの銘柄ごとに売買の注文状況をまとめた表で、投資家はその情報を見ながら売買の判断や注文価格の設定を行っています。
【板情報の用語解説】
気配値 | 注文されている価格のことです。上から高い順で並んでいます。 |
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売気配株数 | 売り注文が出されている株数が表示されます。上図では318円で355,500株の売り注文が入っていることになります。 |
買気配株数 | 買い注文が出されている株数が表示されます。上図では317円で481,300株の買い注文が入っていることになります。 |
OVER | 表示されている気配値より高い価格を1行にまとめています。上図では328円以上で3,860,100株の売り注文があることになります。 |
UNDER | 表示されている気配値より安い価格を1行にまとめています。上図では307円以下で1,018,200株の買い注文があることになります。 |
成行 | 成行の売買注文がある場合はこの行に株数表示されます。※成行注文の詳細は後述します。 |
売買が成立する仕組み
価格を指定して売買(指値)する場合
上図の板情報の例に戻りますが、
この318円の売りと317円の買いを境にして取引が成立することになります。
この銘柄を買いたければ318円で買い注文を出すとすぐに購入することができますし、売りたければ317円で売り注文を出せばすぐ売れます。
急ぎじゃないので、自分は317円で買いたいと思うのであれば、317円の買い注文を出して現在の481,300株の買い注文の次に並んで、317円で売り注文を出してくれる人を待つことになります。
このように値段を指定して売買の注文を出すことを指値といいます。
株の取引は、投資家の「いくらで売りたい」「いくらで買いたい」という注文を、板情報に随時反映させながら売買を成立させています。
成行の売買について
株取引の注文には、指値のほかに「成行」という注文方法があります。
成行の注文はすぐに売買が成立する株価で取引を行う方法で、とにかく急いで購入したり売ったりしたいときに使われる方法です。
先ほどの板情報の例でいいますと、
この状態で成行の買い注文を出すと318円で購入され、成行の売り注文だと317円で売ることになります。
成行注文で株価が大きく動くことがある
先ほどの例のように、個人が出すような小さな単位の成行注文であれば、指値とそれほど差がなく売買が成立するのですが、大きな成行注文が一気に入ると株価が激しく変動する場合があります。
こちらの板情報では成行で103,600株の買い注文が入っており、成行の売り注文49,800株の倍以上なので、このままでは取引を成立させることができません。
このような場合にどうなるかといいますと、青枠部分の株数が成行買いの注文株数と同じになるまで気配値を上げていきます。
仮に4,080円の段階で成行の買い注文入れたとしても、気配値を上げていき4,500円で取引が成立となれば、注文を出した時より大幅に高い価格で購入してしまう可能性があります。
成行注文にはこのようなリスクがありますので、サラリーマンの副業など板情報をリアルタイムにチェックできない場合は、成行ではなく指値で注文を入れるようにしましょう。
株式相場が大暴落を起こすのも、投資家の恐怖感から成行の売り注文が一気に殺到することが関係しています。
この辺りのメカニズムについては、下記の記事で解説していますのでよかったら参照してみてください。
株購入の基礎知識
株の売買に関する基本的なことをまとめてみました。
取引の時間帯
証券取引所の取引時間
証券取引所によっても若干異なっているのですが、東証では以下の時間設定となっています。
- 前場 9:00~11:30
- 後場 12:30~15:00
※土日祝はお休みです
証券取引所の取引時間以外でも、自身の証券口座から注文を出すことは可能です。
この場合は証券会社で予約注文として受付され、証券取引所の次回営業日の朝8時から随時注文が出されていきます。
PTSの取引時間
SBI証券など一部の証券会社では、証券取引所を介さない証券会社独自の私設取引システム(PTS)を導入しています。
SBI証券のPTSの取引時間は以下の通りです。
- 昼間取引 8:20~16:00
- 夜間取引 17:00~23:59
※土日祝はお休みです
証券取引所より長い時間開いており、夜間も取引可能となっています。
ただし、SBI証券に口座を持っている投資家同士だけで取引されるものなので、証券取引所と比べると取引量はわずかしかなく、売買が成立しないことも多くなっています。
売買の単位
銘柄の株価として表示されているものは、その銘柄の1株の価格となっていますが、実際に株を購入する場合は100株単位での購入となります。
したがって株を購入するにはそれなりの資金が必要となります。
- ヤフー(4689)
株価:317円 最少:31,700円(100株) - 楽天(4755)
株価:805円 最少:80,500円(100株) - イオン(8267)
株価:2264.5円 最少:226,450円(100株) - トヨタ自動車(7203)
株価:6,618円 最少:661,800円(100株) - ソフトバンクグループ(9984)
株価:10,805円 最少:1,080,500円(100株) - 任天堂(7974)
株価:29,810円 最少:2,981,000円(100株)
上記のように銘柄によっても大きな差があり、中には最少単位でも購入が難しい金額になってしまう銘柄もあります。
現在では証券会社によっては1株単位でも購入可能とするサービスを展開しているところもあり(SBI証券:S株、マネックス証券:ワン株など)、株価の高い銘柄はこういったサービスを利用することで購入可能となっています。
株を購入するまでの流れ
実際に株の買い方を流れにそってご説明します。
SBI証券の取引画面となりますが、基本的な流れは他の証券会社でも同じとなります。
株口座へ購入資金を入金する
まず証券口座に株の購入資金を入金します。
証券サイトログイン後に「入金」を選択して証券口座への振り込みを行います。
証券会社提携の銀行であれば、証券会社サイトから直接入金処理を行うことが可能です。
取引ツールで注文を出す
購入したい銘柄を呼び出し板情報画面へ移動し、「現物買」のボタンをクリックします。
【用語解説】
現物買 | 証券会社に預けたお金を購入資金として株を購入すること |
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現物売 | 現物買して保有している株を売却すること |
信用買 | 証券会社に預けたお金や保有株を担保にして信用取引で株を売買すること。借金をして株を売買していることになるので初心者にはおすすめできません。 |
信用売 |
購入したい株数・注文価格・注文を出す期間・預り区分を指定して、取引パスワードを入力して注文確認画面へのボタンをクリックします。
【注文画面の用語解説】
出来高 | その日に取引された総株数のこと |
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値幅制限 | 株価の異常な暴騰・暴落を防ぐために設定された、1日で変動できる上下の価格制限のこと。株価が上限まで上昇することをストップ高、下限まで下落することをストップ安といいます |
呼値 | 注文するときの値段の刻み。一般的には3,000円未満なら1円単位、~5,000円までが5円単位という風に定められている |
逆指値(注文) | 「○○円まで下がったときに売り注文を出す」というように株価をトリガーにして注文を出す方法。損切り設定などで用いられることが多い |
買付余力 | 証券口座に入金されている額から株を購入できる上限金額のこと |
預り区分 | 購入した株をどの口座で保管するかを選ぶものです。ほとんどの人が「特定預り」か「NISA預り」のどちらかになりますが、購入した株を売却する際に利益が発生した場合、それぞれの口座の税金処理となります。(NISAの場合は購入した金額分がNISA可能枠から差し引かれます) |
注文内容を確認して問題なければ、注文発注ボタンを押して確定します。
注文受付の確認画面となり実際に取引注文が出されました。
自身の注文が板情報にも反映されます。
注文結果を確認する
取引注文を出しただけでは株の購入が完了したわけではなく、注文した内容に対して誰かが同じ条件で売買してくれないことには成立しません。
サラリーマンの副業などで板情報をチェックできない場合は、注文照会から約定(売買が成立)しているか確認することができます。
まとめ
以上、株の買い方についてまとめてみました。
初心者の方でも理解しやすいように、できるだけわかりやすい解説を心掛けたつもりです。
今回の記事を見てはじめての株購入の参考としていただけるようであればうれしいです。
この他の記事でも株の初心者の方へ向けた記事をいくつか作成していますので、よかったら関連記事より参照してみてください。
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