今回はIPO投資のチェックするべき項目や、確認のやり方などについて、私なりにまとめた内容をお話ししたいと思います。
まず内容をリストアップしておきますと、以下のような項目となります。
- IPO予定の銘柄一覧とスケジュール
- 個別銘柄の情報(上場日、公募価格、O.R、VC保有、時価総額など)
- 企業サイトとJPXの新規上場会社情報
- 代表者インタビュー(ストックボイス)
- 成長可能性に関する説明資料
- 代表者や事業に関するニュース記事など
ではそれぞれについて、詳細にお話ししていきますね。
IPO予定の銘柄一覧とスケジュールの確認方法
まず初めに、IPOするまでの流れについて整理しておきますと、
- IPOしたい企業が申請を出し証券会社の審査を受ける
- 証券会社が証券取引所に上場を推薦する
- 証券取引所が企業の審査を行う
- 証券取引所が上場を承認し、上場日が決定する
かなり要約していますが、大まかにはこのような流れとなります。
上場が承認された段階で、証券取引所より企業や上場日などの情報が公開され、一般の投資家も確認することができます。
これらのニュースは、IPO情報サイトでチェックできますので、ブックマークして定期的に確認するようにしましょう。
代表的なサイトをご紹介しておきます。
IPO銘柄の詳細情報を確認する
個別銘柄のチェックに関しては、IPO情報サイトが分かりやすく整理されているので、こちらを利用しましょう。
おすすめのサイトをいくつかご紹介しておきますが、私の場合は主に「96ut.com」でチェックをしています。
チェックしておきたい内容については、以下よりお話ししていきます。
上場に関する基本情報
まずはその銘柄の上場日や申込みのスケジュールを確認しておきましょう。
取り扱いの証券会社
その銘柄の取り扱い証券会社の中に、自身が使っている証券会社が入っており、抽選配分の割り当てがあるかを確認しておきましょう。
割り当てがない場合は、そのIPOの公募に申し込むことができないので注意が必要です。
公募価格
発行価格や売出価格を確認しておきましょう。
公募で申し込みする価格は、証券会社のブックビルを経て決定しますが、ほぼ上限の価格で決定しています。
価格×100株が公募に申し込んだ場合に、拘束される最低資金額となりますので、どれくらいの株数を申込みするかを合わせて決めておきましょう。
なお公募価格が高い銘柄の方が、初値が高騰しやすい傾向にあるようです。
放出の規模(オファリング・レシオ)
オファリング・レシオとは、その企業の株式がIPOによって、どの程度市場に流通することになるかを示す指標のことです。
IPOでは以下の3つの方法で、株式を市場へ放出することとなります。
- 公募
IPOのために新しく株式を発行して放出する方法。公募で新たな資金を調達できることが、企業におけるIPOのメリットとなる。 - 売出
既存の大株主が保有の一部を売り出すこと。 - OA
オーバーアロットメントの略称。公募の需要が高いときに、証券会社が既存株主から株を借りて売り出す方法。
3つの合計株数が発行済み総株数(上場公募分を含む)のうち、どれくらいの割合になるかでその銘柄のレア度を判定することができます。
(公募株数+売出株数+OA株数)÷ 発行済み総株数(上場時、公募分含む)
オファリング・レシオは20~30%が適正といわれています。
それよりも少なければ少ないほど、希少株として値上がりする可能性が高くなり、逆に多ければ売り圧力が大きく株価は値上がりしにくくなります。
またオファリングレシオのチェックと合わせて、売出をしている大株主のチェックをしておきましょう。
社長や役員が売出に名を連ねている場合、上場ゴール銘柄の可能性もあるので、売出の理由を慎重に見極める必要があります。
上場後も業績が伸びて成長するのであれば、株価はさらに上がっていくはずなので、IPOの売出で保有株を手放す必要がありません。
そもそもほとんどの株を社長が保有しているので、流動性確保のために売り出しているという場合もありますが、イグジット(利益確定)目的の場合は注意が必要です。
VCの保有とロックアップ条件
IPOする企業の大株主に、VC(ベンチャーキャピタル)が名を連ねていないか確認しましょう。
VCとは未上場の企業に投資をして、その企業がIPOすれば保有株を売却して、利益を得ることが目的の投資家です。
したがってVCが大株主にいる場合は、その保有株を上場後に売ってくる可能性が高いのです。
このような大株主の売却で株価が値崩れしないように、大株主に対してロックアップ条件を設定している場合があります。
ロックアップ条件とは、「その条件を満たすまでは保有株を売りません」と取り決めされたものであり、上場後の期間や株価上昇率を条件に組み入れています。
ロックアップ条件が有効な間は安定した値動きだったのに、解除された途端に大株主の売りで値崩れするという可能性もあるので、解除条件やどの程度の売り圧力があるかをチェックしておきましょう。
想定価格での時価総額
上場後のその企業の時価総額が、どの程度になるのかを確認しておきましょう。
すでに上場している同業他社や、ベンチマークになる企業との比較で、企業価値の妥当性を判断することができます。
初値予想
初値予想を確認することで、その銘柄の人気度合いや売値の目安の参考とすることができます。
もちろん予想が当たるとは限りませんので、自己判断をする上での参考としてチェックしてください。
中長期保有のために確認しておきたいこと
その銘柄を中長期で保有するつもりであれば、企業の業績や将来性についてのチェックもしておきましょう。
東証の「新規上場会社情報」のページ
以下のページで、上場申請時の資料などを確認することができます。
▼IPO銘柄の上場申請資料はこちら▼
[blogcard url=”https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/index.html”]
「Iの部」の欄にある「上場申請のための有価証券報告書」は、その企業の事業内容や上場前の業績、IPOの内容などがまとめられた資料です。
おおよその内容はIPO情報サイトでも確認できますが、事業の内容や状況に関する説明欄は、その企業のビジネスを掴む上で重要な判断資料となります。
わかる範囲でも構わないので、読み込んでおきましょう。
上場した数日後に、このページの会社名の下段に、「代表者インタビュー」というリンクが貼られる場合があります。
これは上場当日に、代表者がストックボイスという経済番組に出演して、事業や業績に関する説明を行ったときの映像です。
代表者の資質を見極める上では貴重な映像となりますので、ぜひともチェックしておきましょう。
▼ 代表者インタビューの例 ▼
企業のホームページ
上場する企業のホームページで、事業内容や代表メッセージなどを確認します。
IPO情報サイトの要約で把握はできますが、実際に企業のホームページを確認すると、当初持っていた印象と180度変わってしまうということもあります。
中長期保有を考えるのであれば、必ずチェックしておきましょう。
また上場後は、IRという投資家向け情報のカテゴリーが新設され、こちらにこちらに決算や業績に関係するニュースなどが掲載されます。
こちらに「成長可能性に関する説明資料」という資料が掲載されます。
この資料は事業の優位性や将来における展望について、企業側の視点でまとめたものとなりますので、必ず確認をしておきましょう。
代表者や事業に関するニュース記事など
インターネット検索で、その企業に関する記事をチェックしておきましょう。
上場したばかりのベンチャー企業においては、代表者の資質がその後の成長を左右しますので、代表者に関する記事を私は入念にチェックするようにしています。
まとめ ~IPO投資でチェックしておきたい項目
- IPO予定の銘柄一覧とスケジュール
- 個別銘柄の情報(上場日、公募価格、O.R、VC保有、時価総額など)
- 企業サイトとJPXの新規上場会社情報
- 代表者インタビュー(ストックボイス)
- 成長可能性に関する説明資料
- 代表者や事業に関するニュース記事など
今回は私がIPO投資を手掛ける際に、チェックしている項目やそのやり方についてまとめてみました。
何をチェックして判断すればいいかよくわからない
私もはじめた頃はそうでしたが、初心者の方はこういう気持ちになってしまうかもしれません。
今回ご紹介した内容を一つの事例として、ご自身のIPO投資のチェック項目を決める上で、参考としていただけるようであればうれしいです。
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