近年では新しい住宅の買い方として、中古住宅を購入してリフォームやリノベーションをして住む、このような選択をする人が増えています。
このような「住宅購入+リフォーム工事」で住まいを手に入れる際に利用できる、「リフォーム一体型住宅ローン」というものがあることをご存知でしょうか。
実は私も、この「リフォーム一体型住宅ローン」を利用して、理想の住まいを手に入れることができました。
今回の記事では、リフォーム一体型住宅ローンについて詳しく知りたいという方へ向けて、利用するメリットやデメリットなどをお話ししていきます。
ちなみに中古マンションをリフォーム(リノベーション)した手順などについては、別のブログ記事で詳しくお話ししていますので、興味のある方はそちらもご覧ください。
リフォーム一体型住宅ローンとは?
リフォーム一体型住宅ローンとは、中古住宅物件を購入するときに、引渡し後に行うリフォームの代金も、まとめて借りられる住宅ローンのことです。
住宅ローンとリフォームローンが1つにまとまるため、リフォームローンも住宅ローンと同じ金利で借りられたり、長期の返済期間で借りられたりするなどの特徴があります。
リフォーム一体型住宅ローンのメリットやデメリットは、どのようなものがあるでしょうか。それぞれについて解説していきます。
リフォーム一体型住宅ローンのメリット
1.住宅ローンと同じ金利・返済期間でリフォームローンも借りられる
リフォーム一体型住宅ローンにおける最大のメリットは、住宅ローンと同じ金利や返済期間などの条件で、リフォームローンも借りられるという点でしょう。
一般的に、リフォームローンは住宅ローンと比較すると、金利が高く設定されています。
住宅ローンは住宅を担保にすることで借りられますが、リフォームローンの場合は無担保で借りることになります。
融資をする金融機関側から考えると、住宅ローンの場合は返済が滞れば、最終的に担保に入っている住宅の抵当権が実行されて返済金額に充てられます。
しかし、リフォームローンの場合は無担保ですから、返済が滞った場合のリスクが高くなってしまいます。
そのため無担保のリフォームローンは、住宅ローンと比較すると金利が高く設定されているのです。
リフォーム一体型住宅ローンであれば、住宅ローンと同じ金利がリフォームローンにも適用されますので、リフォームローンよりも金利を安く借りることができるのです。
また、リフォームローンの返済期間は、最長でもおおよそ10年~15年。
リフォーム一体型住宅ローンであれば、住宅を担保とすることができますので、住宅ローンと同じく長期で借りることが可能です。
2.月々の返済金額を抑えられる
リフォームローンを単体で借りる場合は無担保となりますので、金利が高く、返済期間が短く設定されます。
この場合は、住宅ローンとリフォームローンそれぞれを、毎月支払いますので、月々の返済金額が大きくなってしまうのです。
リフォーム一体型住宅ローンであれば、金利を安く、長期に渡って借り入れができるわけですから、月々の返済金額を抑えることができるというメリットも生まれます。
3.リフォーム資金も住宅ローン減税の対象にできる
リフォームローンの場合は、一定の要件を満たさないと住宅ローン減税の対象になりません。
しかしリフォーム一体型住宅ローンであれば、リフォーム資金と中古住宅の購入費用を、まとめて借りられる住宅ローンのため、リフォーム資金も住宅ローン減税の対象となります。
住宅ローン減税については、後ほど詳しく取り上げます。
4.ローン審査や手続きの手間が省ける
リフォーム一体型住宅ローンの場合、住宅ローンとリフォームローンを1つにまとめたローンですから、同じ金融機関で同時に手続きができます。
住宅ローンとリフォームローンを別々の金融機関で借りた場合は、審査の手続きがそれぞれで必要ですから、その手間が省けるという点もメリットの1つでしょう。
リフォーム一体型住宅ローンのデメリット
1.支払い総額が大きくなる
住宅ローンとリフォームローンを別々に借りた場合と比較すると、リフォーム一体型住宅ローンは、リフォーム資金も住宅ローンと同じく長期で借りることになりますので、支払い総額は大きくなります。
支払い総額の比較については、後ほど詳しく取り上げます。
2.中古住宅の引渡し前にリフォームの見積もりが必要
リフォーム代金の見積もりは、リフォーム業者が室内を確認したうえで、プランに応じた見積を作成する必要があります。
リフォーム一体型住宅ローンの場合は、中古住宅購入の前にローンの申し込みをしますので、その段階でリフォーム業者の見積もりを取っておく必要があります。
引渡し前の物件所有者は売主ですから、リフォーム業者が見積もりするために、室内を確認することを、事前に売主から許可を得ておきましょう。
3.リフォーム業者選びの時間が限られる
購入する中古住宅のローン申し込みまでに、リフォーム業者や工事内容を決めて、見積もりを依頼する必要があります。
ですから、住宅ローンとリフォームローンを別々に借りる場合と比べると、リフォーム業者選びの時間が限られてしまいます。
リフォーム一体型住宅ローンを利用する場合は、中古住宅選びと並行してリフォーム業者選びを行うことをおすすめします。
リフォーム一体型住宅ローンがおすすめな人は?
ここまででお話ししたように、リフォーム一体型住宅ローンの最大のメリットは、「リフォームローンが住宅ローンと同じく低金利・長期間で借りられる」ということです。
- いま現在、購入資金がない
- 中古住宅の購入金額を抑えて、リフォームにお金をかけたい
- 低金利で借りておいて、繰り上げ返済を活用したい
上記のような方であれば、リフォーム一体型住宅ローンはとくにオススメといえるでしょう。
リフォーム一体型住宅ローンはどれくらいお得?
それでは、リフォーム一体型住宅ローンと住宅ローン、リフォームローンを別々で借りた場合ではどのような違いがあるでしょうか。
住宅購入3,000万円、リフォーム費用を500万円と仮定して、それぞれの具体例から確認してみましょう。
住宅ローンとリフォームローンを別々に借りた場合
住宅ローン
金利 | 1.54%(固定35年) |
---|---|
返済期間 | 35年 |
借入金額 | 3,000万円 |
月々支払額 | 92,444円 |
支払い総額 | 38,826,354円 |
リフォームローン
金利 | 4.05%(固定10年) |
---|---|
返済期間 | 10年 |
借入金額 | 500万円 |
月々支払額 | 50,741円 |
支払い総額 | 6,088,918円 |
住宅ローンとリフォームローンの条件は上記のようになり、月々の支払額と総支払額は以下の通りです。
住宅ローン:92,444円 + リフォームローン:50,741円 = 143,185円
住宅ローン:38,826,354円 + リフォームローン:6,088,918円 = 44,915,272円
リフォーム一体型住宅ローンで借りた場合
続いて、リフォーム一体型住宅ローンで借りた場合を確認してみましょう。
リフォーム一体型住宅ローン
金利 | 1.54%(固定35年) |
---|---|
返済期間 | 35年 |
借入金額 | 3,500万円 |
月々支払額 | 107,851円 |
支払い総額 | 45,297,501円 |
リフォーム一体型住宅ローンの月々の支払額は、「107,851円」です。
住宅ローンとリフォームローンを別々に借りたときの「143,185円」と比べると、35,000円ほど毎月の支払額を抑えることができます。
ただしに借りた場合は、リフォームローンの返済は10年で終わりますので、リフォームローン完済後は住宅ローンの「92,444円」部分だけの返済になります。
また、リフォーム一体型住宅ローンの場合は、リフォームローンの部分も住宅ローンと同じ返済期間になりますので、支払い総額が38万円ほど大きくなることにも注意が必要です。
リフォーム一体型住宅ローンでは、低金利でまとめて借りて、月々の負担を減らせるというメリットがあります。
その浮いた分を貯蓄するなどして、繰り上げ返済を上手に活用するのが、賢い利用方法といえるでしょう。
リフォーム一体型住宅ローンを利用する場合の手続きの流れ
それでは、リフォーム一体型住宅ローンを利用する場合の手続きの流れについて解説しましょう。
これはあくまで一例ですので、金融機関や不動産会社、リフォーム業者によって必要書類や流れが多少異なることがあります。
1.購入する中古住宅を決定する
まずは、購入する中古住宅を探すところから始めましょう。
購入する中古住宅が決定したら、不動産会社に買付証明書を提出します。不動産会社によっては申込金が必要なケースがあります。
- 買付証明書
- 印鑑
- 申込金(必要であれば)
2.リフォーム業者に見積もりを依頼
通常は住宅の決済(引渡し)を受けてからリフォーム業者の見積もりを依頼しますが、リフォーム一体型住宅ローンの場合は、住宅ローンの申し込みの際にリフォーム工事費用を金融機関に提示しなければなりません。
引渡し前ですので、リフォーム業者が室内に入る許可を売主からもらいましょう。
3.ローンの事前申込
金融機関にローンの事前申込を行います。
その際、中古住宅の購入価格やリフォーム工事の費用がわかるものが必要ですので、この時点でリフォーム工事内容を確定させて見積もりを取得しておきましょう。
- 中古住宅の売買金額がわかる書類
- リフォーム工事費用がわかる書類(見積書や請負契約書など)
- その他金融機関から指定のあったもの
リフォーム一体型住宅ローンに限りませんが、実際に金融機関から借り入れる場合には、借入金額の他に保証料がかかる場合があります。
金融機関によって条件が異なりますので、申し込む前にきちんと内容を確認しておくことをおすすめします。
4.中古住宅の売買契約締結
ローンの事前申込のあと、中古住宅の不動産売買契約を結びます。売買契約書はローンの本審査に必要です。
- 本人確認書類
- 収入印紙
- 手付金
- 印鑑
5.ローンの審査が通れば決済(引渡し)
金融機関の審査が通れば、中古住宅の購入資金が融資されて、引渡しとなります。
- 中古住宅の売買契約書
- 中古住宅の契約時に受け取った書類一式
- 見積書や工事請負契約書などリフォーム工事内容や金額など使用用途がわかる書類
- 住民票
- 印鑑証明書
- 実印
- 収入を証明できるもの(源泉徴収票など)
6.リフォーム工事後、リフォーム代金の決済
引渡し後にリフォーム工事が入り、完了すればリフォーム資金が銀行より融資されます。
リフォーム工事は、実際に工事が進むとリフォーム内容が変わったり、想定外の修繕が必要となったりするなど、見積もり内容よりも高額になってしまうケースがあります。
しかし、銀行より融資される金額は審査の時点で決定しています。
融資額から減額することは基本的に問題ありませんが、後から増額することは非常に難しいので、融資計画はリフォーム会社と十分に協議して進めるようにしましょう。
リフォーム一体型住宅ローンの「住宅ローン減税」と確定申告
住宅ローン減税とは、住宅ローンを利用してマイホームを新築、購入、改築などを行った場合に一定の期間、住宅ローン残高に応じて所得税から控除されるという制度です。
リフォームローンの場合は一定の要件を満たさないと住宅ローン減税の対象となりませんが、リフォーム一体型住宅ローンの場合は住宅ローン減税の対象となります。
- 新築住宅
- 中古住宅(要件あり)
- 増築・リフォーム工事(要件あり)
- 増改築、建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替えの工事
- マンションの専有部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事
- 家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
- 耐震改修工事(現行耐震基準への適合)
- 一定のバリアフリー改修工事
- 一定の省エネ改修工事
なお、住宅ローン減税を受けるためには、確定申告が必要となります。
初めから減税されるわけではなく、確定申告をすることによって還付されますので、要件を満たしている場合は、毎年の確定申告を忘れないようにしましょう。
まとめ:リフォーム一体型住宅ローンを活用して理想の住まいを手に入れよう!
近年では、新築ではなく中古住宅を購入して、リノベーションやリフォーム工事をして、自分らしい住まいを手に入れるという人が増えてきました。
これには中古住宅・リフォーム市場の活性化に向けて、政府が力を入れて取り組んでいるという背景もあります。
中古住宅市場がさらに活性化されれば、リフォームローンの商品もさらに多様化していくかもしれませんね。
リフォーム一体型住宅ローンは住宅ローンと同じ金利・返済期間で借りられるなどメリットの多い住宅ローンです。
中古住宅購入を検討している方は、今回の記事を参考にして、この機会にぜひリフォーム一体型住宅ローンも検討してみてください。
▼こちらも合わせてどうぞ▼