住まいを賃貸にするか、持ち家にするかという論争があったときに、私はずっと賃貸派を自称してきましたし、社会人になっても結婚しても、この年になるまでずっと賃貸暮らしを続けてきました。
しかし2017年の夏に、私はついに賃貸派をやめて、中古マンションをマイホームとして購入することになったのです。
マンションを購入しようという考えに、至った理由はいくつもあるのですが、今回はその理由についてお話ししたいと思います。
賃貸派の暮らしの中で感じた持ち家の優位性
同じ賃貸に10年住み続けて気付いたこと
購入したいまの自宅マンションへ引っ越すまで、私は賃貸マンションの同じ部屋を、10年以上も借り続けて妻と暮らしていました。
その暮らしのなかで、いくつか気付いたことがあります。
引っ越しの手間や費用を考えると気軽に引っ越せない
賃貸派のメリットとしてよくあげられる項目に、「何かあっても気軽に引っ越せる」ということがあります。
確かに会社都合で転勤が頻繁にある人であれば、住まいを固定してしまうことは大きなリスクであり、自宅購入を見送るべきだというのは理解できます。
しかし私は、転勤の可能性がある職場ではなかったですし、引っ越しするのは手間がかかるし、引っ越し代や敷金礼金などのお金も結構かかるのです。
一人暮らしの人なら、「気軽に引っ越し」もできるかもしれませんが、家族と住んでいる場合は、転勤というイベント以外で、引っ越しを考えるケースはそれほど多くないでしょう。
こういう経緯もあって、結局のところ、私は同じ賃貸に10年以上も住み続けることとなりました。
家賃は適正に下がらない
ローンでマイホームを購入した場合は、毎月の支払いを続けていると、徐々に残債は減っていき、完済すれば住まいに関する費用負担は、大きく削減されることになります。
金利による変動の可能性はありますが、住宅ローンを利用することで、支払い応じて適正に残債が減っていく形となります。
しかし賃貸の家賃は、経年により物件価値が下がったとしても、比例して家賃が減るわけではありません。
家賃の設定はオーナーの意向次第であり、同じ賃貸に家賃が下がることなく長く住み続けていると、対価以上のプレミアムをオーナーに支払っている形となるのです。
もちろん、オーナーに対して家賃交渉を行えば、家賃を下げてもらえる可能性はあるでしょう。
しかし賃貸物件における実情は、家賃交渉が面倒、気が引けるといった理由で、住み始めたときの家賃のままで、長く住んでいるという人も多いのではないでしょうか。
私は過去に、不動産投資を模索していた時期があります。
その頃によく目を通していた、マンションやアパート物件の入居者家賃一覧表では、同じマンションで同じ間取りと広さの部屋に住んでいるにもかかわらず、異なる入居者で家賃が何万円も違っている、このようなケースをよく目にしました。
マンションのオーナーは、ビジネスとして不動産業を営んでいるので、可能であれば家賃をできるだけ高く徴収したい、このような思いがあるのでしょう。
[blogcard url=”https://2ndgong.jp/001-realestate-investment/”]
10年間で支払った家賃総額が大きすぎる
家賃12万円の賃貸に、私は10年以上住み続けていました。
後半の3年ほどは、家賃交渉により家賃を8千円下げてもらいましたが、それでもトータルすると1,400万円くらいは、家賃として支払った計算になります。
いま思うともう少し早く、自宅購入に考えをシフトするべきだったかもしれません…。
マンションを購入した現在では、賃貸暮らしの頃と同じような広さと間取りの物件に、住宅ローン返済と管理費を合わせても、7万円弱のコストで暮らせています。
固定資産税など、賃貸暮らしでは負担がなかった費用もありますが、住宅ローン控除などの優遇もあるため、賃貸派だった頃より、毎月の住居費負担を大きく減らすことができました。
今までより支出が減った部分は、ローンの繰り上げ返済と、投資資金の原資として割り当てています。
超低金利と住宅ローン控除の追い風
住宅販売会社などの営業トークとして盛んに言われていることですが、住宅ローンは歴史的な超低金利水準が続いており、住宅ローン控除の制度も大きな優遇策となっています。
[blogcard url=”https://www.suumocounter.jp/fp/article/system/housing-loan-deduction.html”]
もちろん優遇策はいつか終わりが来ますし、この先の金利がどうなるかは誰にもわかりません。
未来が見通せないことを、リスクと言ってしまえばそうなのでしょうが、不確実なリスクにおびえて、大きな恩恵を享受しないというのも、私は少し違っている気がします。
先のリスクに十分備えながら、受け取れる恩恵はしっかり享受する。このスタンスが望ましいのではないでしょうか。
両親から学んだ高齢者の賃貸探しの現実
体調も崩しがちだった私の両親を、数年前に実家のある遠方から、私の住んでいる近くに引っ越しさせるという経験をしました。
実家を売却するという点では、持ち家のデメリットも経験したわけですが、それ以上に感じたのが、高齢者の賃貸住まいに対する難しさです。
引っ越しをする時点では、持ち家があり遠方でもあったので、いきなり公営住宅などに住むことは難しいとのこと。
そこで一般の賃貸物件で引っ越し先を探しましたが、年金暮らしの高齢者の場合は、息子の私が保証人になる前提でしか借りられるところがありません。
両親の引っ越し先として、最終的に借りた物件は、息子である私の名義で申し込むことになりました。
両親からすれば、息子である私がいろいろ手配して、何とか無事に引っ越すことができましたが、心身も弱った高齢者が自分たちだけで賃貸住まいを探すのは、相当に困難なことであると感じます。
ライフスタイルが定まったことで住まいの固定化が可能に
年齢が若いうちは、仕事や結婚、人生観など、将来の展望や見通しが定まっていないので、持ち家が足かせになってしまう可能性があります。
しかしそこそこの年齢となって、自身のライフスタイルもある程度は定まって、住まいを固定化することができるのなら、賃貸住まいを続けるよりも、マイホームを持つことの方がメリットが大きくなる場合もあるでしょう。
住まいへのこだわり
人から部屋を借りる「賃貸住宅」というかたちでは、住まいに対する自身のこだわりを実現したいと思っても、制限を受けてしまう可能性があります。
以前に私はホームシアターにこだわっていた時期があるのですが、賃貸住宅では天井や壁に穴をあけてしまう、スピーカーやスクリーンを取り付ける工事ができません。
仕方ないので見栄えは悪いですが、突っ張りポールを立てて無理やり取り付けていました。
マイホームを持つことの大きなメリットの一つとして、自分の住まいへのこだわりを自由に実現できる点があると思います。
「マイホーム投資」という考え方
最近はサラリーマンの中でも、不動産投資を手掛ける人が増えてきています。
その一つのカテゴリとして、自宅を購入することを「マイホーム投資」と考えてみると、持ち家に対する見かたが変わるかもしれません。
豊かな老後に備えて、株式投資や不動産投資を検討するように、豊かな老後の住まいを形成するために、「マイホーム投資」を行うという考え方です。
働いていて収入もある今は、賃貸住まいをどこにでも借りることができるかもしれません。
しかし高齢となって、年金暮らしをするような状況になれば、よほどの資産や収入源を持っていない限りは、私の両親のように、賃貸住まいが制限される可能性はあります。
ローンの支払期間や支払い能力という点で考えても、住宅ローンでマイホームを持つには、30~40代がリミットではないかと思われます。
「私は賃貸派」という固定観念をいちど取り払って、自身のライフスタイルが、持ち家か賃貸住まいのどちらにふさわしいのか、考える時間を持ってみることをおすすめします。
自宅購入時の注意点
多くの賃貸派の方が指摘するように、住宅ローンでマイホームを持つことにはリスクが存在しています。
これらのリスクを理解した上で、リスク回避できる策を十分に考慮しておくことが重要です。
身の丈以上のローンを組んで住まない
住宅ローンはいうまでもなく借金です。
ローン金利や自身の収入が変動することによって、返済ができなくなり破綻してしまうケースも実際にあるのです。
このようなことを回避するためにも、リスクを考慮した返済プランを練った上で、購入判断をすることが重要となります。
新築物件のプレミアム価格で住宅ローンを組んだり、借入が可能だからといって、年収に比べて高すぎるローンで購入することが無いようにしましょう。
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近隣住人や物件自体のトラブルなどを購入前にチェックする
購入してしまうと、気軽に引っ越しできないという持ち家のリスクは、賃貸派の人が指摘する通りでしょう。
このリスクを少しでも軽減するために、自宅を購入する前の段階で、
- 近隣のトラブルがないか?
- 周辺環境はどうか?
- 物件に瑕疵は存在しないか?
上記のようなことは、しっかり事前調査をしておきましょう。
人生のなかで圧倒的に高額な買い物です。これまでのどんな買い物よりも、何倍もかけて徹底的に調べ尽くす、これくらいの気持ちでのぞみましょう。
私の場合はマンションの仲介会社に依頼して、そのマンションの管理組合の議事録を過去何年分も見せてもらい、住人同士のトラブルや管理状況などを隅々までチェックしました。
まとめ:賃貸派だった私がマンションを購入した6つの理由
賃貸派である私が、賃貸住まいをやめて自宅マンションを購入した理由は、整理すると以下の6つの点となります。
- 同じ賃貸に10年住み続けて得た気づき
- 超低金利と住宅ローン控除の追い風
- 両親から学んだ高齢者の賃貸探しの現実
- ライフスタイルが定まったことで住まいの固定化が可能になった
- 住まいへのこだわり
- 「マイホーム投資」という考え方
賃貸派と持ち家派が、お互いに論じているメリットやデメリット、リスクなどは、どれも正解だと思います。
結局のところ、自分のライフスタイルにどれがマッチするか、これに尽きるのではないでしょうか。
賃貸派と持ち家派のどちらの言い分にも耳を傾け、しっかりとリスクヘッジして、自身のライフスタイルに合った住まいを手み入れましょう。
私が格安で理想のマイホームを手に入れた方法については、以下の記事で詳しくお話ししていますので、興味がある方はこちらをどうぞ。
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