今回は私が株式投資に取り組む中で、長期投資の手法を学ばせてもらった、フィリップ・フィッシャーの格言についてお話をしたいと思います。
2004年に96歳で亡くなるまで、投資を手掛けてきた数々の銘柄が100倍以上となっており、成長株投資の巨匠と呼ばれています。
私がまだ初心者だった頃に彼の格言を知ったのですが、漠然と感じていた長期投資に対する私のイメージが、完璧に言語化されていたので感銘を受けました。
どのようにしてフィッシャーの格言に忠実な取引ができるか、今ではこれが私の長期投資のベースになっています。
彼の格言をご紹介していきながら、長期保有の考え方についてお話ししていきます。
フィリップ・アーサー・フィッシャー(Philip Arthur Fisher, 1907年9月8日 – 2004年3月11日)はとても成功した株式投資家で、1958年以来初版から印刷されている投資のガイドブック『Common Stocks and Uncommon Profits』(翻訳は『フィッシャーの「超」成長株投資―普通株で普通でない利益を得るために』フォレスト出版)の著者である。
フィッシャーの思想を受け継いだ人々の中で、もっとも有名な人物はおそらくウォーレン・バフェットであろう。
フィッシャーの行った最も有名な投資は、1955年にまだ小さなラジオ製造業者だったモトローラを買ったことである。彼はモトローラ社の株を、2004年3月に96歳で死ぬまで保有し続けた。
引用元:Wikipedia
1.長期保有に対する考え方
目先の株価動向ではなく成長ビジネスを探すことに注力する
いつ起きるかを予想することは、何が起きるかを予想することより何倍も難しい。
「いつ起きるかを考えることよりも、どんなことが起きるかを考えたほうがいい」
ということを言っているのですね。
目先の株価動向を予想することではなく、その企業のビジネスが大きく花開く可能性に目を向けるべきだ。
現在に置き換えて考えるなら、このような意味合いになるのではないでしょうか。
長期投資で成果を上げていくつもりであれば、株価の値動きを研究することよりも、成長するビジネスを探し出すことに注力していきましょう。
安易な買い付けは行わない
「何があっても売らずに、持ち続けよう」と思えるくらい価値ある株を、初めから探して投資していくべきだ。
「まずはとりあえず買ってみよう」
というような安易な買い付けは行わずに、しっかりと企業分析をした上で、自分がピンときた株を買うべきという意味でとらえています。
初心者の方に向けた言葉のようにも感じますね。
目先の20%の利益より、数年後の10倍化を狙う
投資家は決して10%や20%の小さな利益にではなく、 何年間もかけて10倍近くになるような株価の成長にこそ興味をもつべきだ。
この言葉を今の相場に置き換えて考えると、チャートの買いシグナルやテーマ株などを狙うのではなく、ビジネスの大きな成長が見込める銘柄を狙うべきということなのでしょう。
1日に10%くらい動く株はありますし、そういった銘柄を目利きして資金を回していけば、数年で10倍以上の資産を築くことも不可能ではありません。
ただそういう投資手法ならば、常に相場に張りついて、株価の動向を追い続ける必要があります。
1日で10%上がることもあるのなら、下がることだってありますから、素早く飛び降りたり売りを入れるセンスが求められるのです。
私はサラリーマンの合間に、そのような取引を実践できる自信がありませんでした。
サラリーマン生活でつちかったビジネスセンスを活かして、成長企業を発掘する方が楽しいし向いていると思うのです。
フィッシャーの言葉から、このような気付きを得ることができました。
2.銘柄選びの考え方
経営陣の資質を見極める
経営陣が投資家にたいして強い忠誠心を持っていない株は買わない。
長期投資を手掛けるうえで、その企業の経営陣を見極めて判断することは重要です。
企業が上場会社となるときに、経営陣の保有株が売り出されて、それを投資家が買い付けるという構図が多いです。
その時に持ち株のほとんどを、投資家に売りつけるような経営陣では、そこから先の成長はあまり見込めないでしょう。
また企業が偉大な成長を遂げるかどうかも、経営陣の資質で決まってしまうのです。
このことを証明する良書があるのでご紹介しておきます。
私はこの本を読んでいたので、フィッシャーのこの言葉を知ったときに、とても共感することができました。
興味がある方はぜひ読んでみてください。
行き過ぎた分散投資はしない
行き過ぎた分散投資はしてはいけない。
厳しく選び抜かれた少数の最優良株に投資し、最小のリスクで資産を最大化しなさい。
あまり手広く買わずに、厳選した銘柄に資金を集中させましょう。
このような意味ですね。
資金量による違いはありますが、3~5銘柄くらいがベスト、多くても10銘柄くらいまでではないでしょうか。
全銘柄の決算をチェックして、売上や利益が基準以上に成長している企業をピックアップし、それらの企業を数四半期かけて調査してさらに絞り込む。
今の私の投資手法はこのようなやり方ですが、これはある程度時間をかければ、誰でも絞り込みすることができます。
全銘柄のチェックまでやると時間がかかりすぎるので、そこまではおすすめしませんが、やり方に興味がある方は下記を参照してください。
3.買い付けの考え方
厳選銘柄が暴落したところを拾う
やる気も能力もある『傑出した企業』が、トラブルに見舞われたり、経営が悪化したところが買い場である。
素晴らしいビジネスにおいて、その根底が変わっていなければ、トラブルでも買い向かおうという意味ですね。
ただし決算が悪化した場合は、株価が1~2年くらい低迷することもあります。
また一般投資家が知りえない悪材料をもとに、一度下がった後も機関投資家が売り続けて、だらだら下がり続けるようなこともあるかもしれません。
ですので自分の確信だけで、トラブルに買い向かおうというのは、初心者にはリスクが高い気がします。
そこでおすすめしたいのが、相場が大暴落となるようなときに、買いを入れる手法です。
銘柄自体には何も問題がないにもかかわらず、恐怖におびえた投資家が優良銘柄でも関係なく売りつけてくるので、バーゲンセールともいうべき買い場です。
こちらのやり方は別の記事でご紹介していますので、興味がある方は下記を参照してください。
分散して買い付けする
よい銘柄について1回1回いいタイミングを計りつつも、いちどきに買ってしまうのではなくて、時間を分散しながら徐々に買い増していくべきだ。
いちばん安いところで買いたいと思う気持ちは当然ですが、いつが一番安い底なのかは誰にもわかりません。
まずは資金の一部で買ってみて、様子を見ながら買っていこうという意味となります。
ただし注意したいのが、ナンピンとは異なるということです。
当初100万円分の保有で考えていたのに、思ったよりも下がったため資金を増やして買い下がり、結果200万円の保有となってしまう。
このような買い方をナンピンといいます。
これだと本来は他の銘柄に充てる予定だった資金が、100万円分使えなくなってしまいます。
こういった計画性のない投資は、リスクを高めてしまうことになるので避けましょう。
4.保有と売却に対する考え方
株価が急騰しても全売却はしない
株式の買い付けさえ正しく出来れば投資の仕事はほぼ終わったものと考えてよい。
売却のタイミングはまず考える必要はない。保有し続けるのが最良の策である。
単に株価がかなり上がったというだけの理由で持ち株を全部手放してしまうことほど愚かなことはない。
何倍にも大きく成長する株はじりじりと上がり続けることが多く、いったん全部を売却してしまうと、同じ価格で買い戻しできないというケースが割とあります。
しかし相場の過熱感により短期間で2倍になるなど、行き過ぎた上昇であればその分戻りも大きいので、半分程度を上限にいったん利益確定するのはありだと思います。
その方が急騰に対する利益も得られますし、結果的に安く買い戻せることも多いです。
売却する3つのケース
保有株を売る理由は次の三つであり、それ以外にはない。
第一に当初の購入判断にミスがあり、時とともに当初魅力的だと思われた条件がその企業から失われた場合。
第二に当初妥当と思われた条件が変化し、もはや当てはまらなくなった場合。
第三に保有株以上に魅力的な株に乗り換える場合であるが、正しいルールに従って銘柄選択をしてきた投資家にとってこれはあまり当てはまらないかもしれない。
保有株の売却を考えるタイミングは、以下の3つであると説明されています。
- 最初の株式購入時の判断が誤っていた場合(自分の読み通りに進まなかった場合)
- 環境・企業の変化により買うべき企業の条件を満たさなくなった場合
- もっと有望な企業を発見しそちらに乗り換える場合
ただし3番目の対応は注意が必要です。
乗り換えた銘柄がすぐ上昇するとは限りませんし、保有していた株が手放した後も上昇し続ける可能性もあります。
この場合は保有株をまず半分売却し、新しい銘柄も購入予定の半分をまず買って、様子を見ながら新しい銘柄へ移行するというやり方がおすすめです。
5.損切りに対する考え方
株式銘柄選定のミスへの対処を難しくする要素がある。それは自分の心に潜むエゴである。誰しも自分のミスを認めたくない。間違って買った株でも、少しは上値で売れれば気分的には救われる。「なんとか買値に戻るまで」と望ましくない株を持ち続ける態度こそ損失を招く最大の要因だと言えるだろう。
損切りをするときに一番心掛けたいことは、「甘い期待をしないこと」です。
自分の前提条件が崩れているのに、株価には影響がないというようなケースもあるかもしれません。
しかしこの場合でも、とりあえず様子を見ようなどと考えず、強い意志で撤退をするべきです。
甘い期待を持って悠長にしていると、突然急落が襲いかかって茫然自失となり、逃げ遅れて損失が拡大するということになりかねません。
「自分の前提が崩れた」ということが損切りのタイミングなのであり、市場の反応がどうかは関係ありません。
にもかかわらず甘い期待を持ってしまって、結果的に被害を大きくしてしまう。
このようなことが無いように、損切りは迅速に行いましょう。
まとめ
今回は成長株投資の巨匠と呼ばれる、フィッシャーの名言を取り上げて、私が長期投資で心掛けていることをご紹介しました。
今の株式相場の環境は、フィッシャーが投資を手掛けていた頃とは違っておりますが、それでもなお今も通用する長期投資の真髄といえるものです。
お話しした内容が株式投資を手掛ける上で、参考となるものであればうれしいです。
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