サラリーマン時代から副業として株式投資をはじめましたが、それより少し前に不動産投資にチャレンジしようと真剣に活動していた時期があります。
いろいろと試行錯誤はしてみたのですが、結果的に私は収益物件を購入することなく、不動産投資には足を踏み入れませんでした。
今回はそういう結論に至った経緯などについてお話ししたいと思います。
サラリーマンの不動産投資におけるひとつの参考事例として、これから不動産投資をはじめてみようという方への何かの参考になればと思っています。
不動産投資をはじめようと思った理由
不動産投資をはじめてみようと思ったのは、今はサラリーマンとして忙しく収入もそれなりにはあるものの、これから先の老後や将来に対して不安を感じていたからでした。
当時はサラリーマンの不動産投資本がたくさん出版されていて、それらを読みあさった私は自分もチャレンジしてみようと考えるようになりました。
不動産投資のためにやってみたこと
過去に不動産業界で働いたこともなく何の知識もない状態でしたが、読んだ本に書かれていたことをいろいろと実践してみました。
不動産仲介業者まわり
まずは投資物件の情報を入手することからなのですが、不動産屋の知り合いもいなかったので、まずは「楽待」という投資不動産の情報サイトに登録してみました。
収益物件数No.1 国内最大の不動産投資サイト楽待(らくまち)
楽待で投資物件を参照したり、業者から投資案件の提案を受けるサービスも利用しながら、楽待に登録されている不動産業者に挨拶まわりをして、積極的に顔を売って行く作戦を敢行することにしました。(読んだ本の受け売りです・・)
サラリーマンのとは別に不動産投資専用の名刺を作成し、探しているエリアや物件種別、年収や自己資金などを記載した経歴書も持参して、「自分に投資物件を紹介してほしい」とアポなしで訪問していきました。
このような飛び込み訪問はそんなにあるわけじゃないらしく、行く先々で丁重な対応をしていただき、おかげでサイトに載っていないような物件情報も、メールやFAXでたまに送られてくるようになりました。
銀行まわり(地銀・信用金庫)
こちらも本に書いてあったことをそのまま実践しただけなのですが、不動産仲介業者まわりと並行して同じエリアにある、地銀や信用金庫の各支店へ挨拶まわりを行いました。
物件が見つかったときに融資してもらえる先を開拓しておくためで、業者まわりと同じく名刺と経歴書を持参して担当者に取り次いでもらいました。
同じ銀行内でも支店によって融資条件が違っていて、
- A支店:不動産投資への融資はするがサラリーマンは不可
- B支店:サラリーマンもフルローンもOK
という感じで、実際に担当者に会って話を聞かないと分からない情報を、いろいろと得ることができました。
「物件があれば連絡ください。前向きに検討しますよ」と担当者から返事がもらえた先もいくつか確保することができました。
探していた物件種別
投資対象は中古のRC一棟マンションを中心に探していたのですが、なかなかいい物件が見つからないため、徐々に対象を広げていくことになりました。
まとめると以下のような推移となります。
中古RC一棟マンション(都市部)
サラリーマン不動産投資の本でも、一番推奨されていた投資先が中古RCマンションの一棟買いだったので、まずはこちらを中心に探していきました。
「収益が十分に見込める物件であれば2~3億でも融資が引ける」
当時読んだ投資本にはこのように書かれていましたが、著者が不動産投資していた時期と状況が変わったのか、私の属性では2億円でも初回融資では厳しそうでした。
そこで融資可能な1億5千万くらいを上限に、大阪市近郊~北摂・阪神間の賃貸需要が見込めるエリアで探しました。
私が探している価格帯の物件は参入障壁が低いので、物件の獲得競争は厳しくいつも時間勝負でした。
よさそうな物件は、とにかく早く現地確認をして買い付けを入れないと、すぐに決まってしまうのです・・・
ですので情報が送られてきた物件は、仕事が終わってからその日のうちに、深夜でも下見に行くということを繰り返していました。
下見に行った中で、一番購入したかった物件の話です。
夜の9時くらいに不動産仲介業者の方から電話をいただき、仕事が終わってその足で電車を乗り継いで現地に向かいました。
物件の状態もよく、立地も申し分ないので入居付けに困らないと判断し、すぐに業者の方に買い付け依頼の電話を入れます。
しかしすでに8件の満額買い付けが入っており、いくつかはローン無しの現金決済の申込みと、私の出る幕なしの状態でした・・・
終電も過ぎてしまっていたので、失意の中タクシーで帰ったことを今でも覚えています。
中古RC一棟マンション(地方)
都市部での中古RC一棟マンションへの投資は、競争が激しすぎるため、人口の少ない地方への投資を次第に考えるようになりました。
地方の物件は競争は少なくなりますが、人口が少なくて入居付けが困難となる可能性があります。
ですので、土地勘があって入居付けの可否が判断できるエリアで、物件を探したほうがよいと考えていました。
そのような観点から、当時両親が住んでいた実家のある近隣のエリアで探し始めたところ、しばらくしてネットでよさそうな物件を見つけることができました。
物件価格は3000万台と都市部と比べるとはるかに安く、駅から徒歩1分と立地は申し分ありません。
ローカル路線(単線)の普通駅なので乗降客は知れていますが、それでもこの近くには地方大学が昔からあり、学生の需要も見込めるので十分収益が取れると判断して、買い付けを入れることにしました。
売主の方にはOKいただけたのですが、残念なことにこの物件は融資が通りませんでした。
都市部で開拓していた銀行の窓口はエリア外になるため、物件のエリアにある地銀へ申し込んだのですが、この地区ではサラリーマンの不動産投資へ融資する前例がほとんどなく、最低でも半額以上の自己資金を入れないと融資はできないとの回答でした。
自己資金を半額まで入れてしまうと、投資の妙味が薄れてしまうので、購入を断念せざるを得ませんでした。
土地を探して新築を建てる
中古RCへの投資がかなり厳しいと感じていたこともあり、不動産の投資先を異なる分野に広げようと、土地を探して新築RCや賃貸併用住宅(自宅と賃貸を半々で使う物件)を建築する投資も模索しました。
しかし土地の情報は中古物件よりも数が少なく、建築コストもかかりすぎて利回りが取れないので、よさげな土地を見つけてもプランを立てるとボツになるということを繰り返してしまうのです。
この頃には株式投資もはじめていて、そちらに労力をかけることが多くなり、不動産投資の活動を休止する状況になっていました。
ところが株式投資先で、サラリーマン向けにアプリを使って不動産投資を提案している会社を見つけて、自分でも一度利用しようと面談を申し込んでみました。
面談でいくつかの土地情報を紹介され、その中で大阪の南部ではありますが都市部でよさげな物件がありました。
土地の購入価格から新築まで含めた総事業費が、1億3千万のプランとなっていました。
このエリアの土地勘が無いので、その足で現地へ下見に行ってみたところ、最寄り駅は特急も停まる大きな駅で乗降客も申し分なく、駅からは徒歩15分ほどと少し遠いのですが、その分静かで戸建ても多い住宅街でした。
収益プランの検証もあるので、前向きに検討したい旨伝えて一度持ち帰ったのですが、「めったに出ない良物件」と担当者に推されて、申込み時にローンが組めるか銀行の審査を並行で進めてもらうことになりました。
しかし帰って収益プランを練ってみると、満室経営ならキャッシュフローは出ますが、2部屋分が空きの状態になると、ローン支払いに対して収益がマイナスになってしまいます。
新築アパートの利回りは、これでもよく見えてしまうくらいの状況だったので、新築アパート投資の中で良物件というのは、嘘ではなかったのかもしれません。
しかし収益性と1億3千万のローンを背負うリスクのバランスが取れていないと判断し、この物件は断ることにしました。
銀行の審査もフルローンOKで通って、あとは正式な申込みをするだけとなっていたので、怒声になったり泣き声を出したり、担当者も必死で説得を試みてきました。
さすがにこれには妻も引いてしまい、不動産投資からはいったん手を引かざるを得なくなってしまいました。
この記事を書くにあたって、当時見に行った土地の場所をGoogleマップで確認してみたのですが、直近の写真でも新築アパートは建っていませんでした。
この会社は昨年大きな問題が発覚して危機になっておりますし、もしあのまま担当者の勢いに負けて投資をしていたら、かなりまずい状況になっていたかもしれません。
不動産投資を見送った理由
様々な試行錯誤をしてきたにもかかわらず、結果的に私が不動産投資を見送ることにしたのは、まとめると以下の5つの理由となります。
物件情報入手の難しさと取得競争の激しさ
多くの書籍が出回るなどして、サラリーマンが不動産投資を手掛けることが一般的になり、私のような予備軍まで含めると不動産投資家は激増しているのではないでしょうか。
その中で投資妙味のある物件情報をいち早く入手し、買い付けの権利を獲得するのは一般のサラリーマンでは至難の技になりつつある気がします。
物件価格高騰で利回りが低すぎてリスクと見合わない
取得競争の激化は物件価格の高騰を生み、利回りを押し下げています。
その結果、不動産投資の収益性は、サラリーマンがローンを組んで不動産投資をはじめるリスクと、まったく釣り合わないものになってしまっています。
税金やメンテナンスにかかるコストが大きい
不動産投資のメリットとして、大家業の大半のことを外注できるので、手間がかからないということがあげられます。
確かにこれは、忙しいサラリーマンにとってはメリットになり得ると思います。
しかし収益性が悪化している状況では、これらの外注コストや税金の支払いで、キャッシュフローがマイナスになる危険性をはらんでいます。
かといって、サラリーマンが外注せずに自主管理でコスト削減するのも、簡単なことではありません。
初回物件で失敗すると詰む
投資物件のキャッシュフローや資産評価を使って、投資物件の取得を繰り返して大きな資産形成をすることが不動産投資のだいご味です。
しかし、最初の物件購入で失敗してマイナスになってしまうと、次の物件購入に進むことができなくなります。
売却するにも大きなマイナス(持ち出し)となり、毎月の赤字をサラリーマンの給料から補填し続けるしかないという、最悪の状態に陥ってしまうのです。
まとめ ~不動産投資で成功するために必要なこと
今回は、私のこれまでの不動産投資における、試行錯誤についてまとめてみました。
物件をひとつも購入できていないので、頑張って試行錯誤したのに、失敗に終わっているともいえるかもしれません。
しかし不動産投資の場合は、購入して失敗してしまうより、購入せずに失敗に終わっている方がずっとマシだと思っています。
現在は株式投資を手掛けていて、並走できるほどの財力がないので、不動産投資の活動はできていません。
しかしいずれチャンスがあれば、これまでの経験を活かして、再チャレンジしたいと思っています。
最後となりますが、私の過去の失敗経験をふまえて、次に挑むときに心掛けたい不動産投資を成功に導く3つのことを、まとめとして記載しておきます。
- よい物件の入手経路の開拓と物件まわりをひたすら根気強く続ける
(競争は激しいので片手間レベルで考えているなら難しい) - 銀行担当者とのパイプ作り
- 自己資金は多いほどいい(1000万以上は必要)
今回の内容が、サラリーマンで不動産投資を検討している方の参考となればうれしいです。
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